犬は加齢とともに免疫やさまざまな機能が低下するため、成犬時に比べてかかりやすくなる病気も増えます。
今回は、高齢犬がかかりやすい病気と飼い主さんが気をつけたいことをお話します。
歳を重ねるにつれ脳の認知機能が低下し、認知症を発症する子も珍しくありません。
犬が認知症になると次のような行動が多くなります。
- ・昼夜逆転
- ・夜鳴き
- ・トイレの失敗が増える
- ・同じところを徘徊する
- ・食欲が異常に増す
人と同じく、一度認知症を発症すると現在の獣医療では完治は不可能です。
一方、進行を遅らせることは可能なので、早期発見が重要なカギと言えるでしょう。
認知症の進行を遅らせるには動物病院の受診はもちろん、自宅でのケアも大切です。
毎日の散歩コースに変化をつけたり、コミュニケーションを増やしましょう。
また、日光浴で昼と夜の区別をつけるなど、愛犬の脳に良い刺激を与えることもおすすめです。
犬は唾液の性質や歯の形質が人と違うため、虫歯になりにくいとされています。
一方で、3〜5日の短い期間で歯垢が歯石に変わるため、歯周病には注意が必要です。
特に高齢犬は唾液の分泌量も減るため、成犬の頃以上に気をつけなければいけません。
じつは私の愛犬もシニア期に歯周病になり、手術で多くの歯を抜いた経験があります。
「可哀想なことをしてしまった」「きちんと予防していれば…」と、愛犬とお別れして数年経った今でも後悔しています。
歯周病の予防には、毎日の歯磨きが大切です。
私の愛犬は歯磨きが苦手で諦めてしまったのですが、最近では飲み水に入れるタイプの口腔ケア剤もあります。
口に指や歯ブラシを入れるのが苦手な子でも、飲み水に混ぜるタイプであれば挑戦しやすいでしょう。
愛犬がずっと自分の歯でご飯を食べられるよう、大切にケアしてくださいね。
シニア期は関節の軟骨がすり減ることにより、関節炎を起こしやすくなります。
関節炎の痛みによる主な症状は・・
- ・散歩に行きたがらない
- ・段差を嫌がる
- ・眠っている時間が増える
などの様子が見られます。
関節の痛みを「歳のせい」と諦める飼い主さんも多いですが、常に痛みを抱えているのは苦しいことです。
痛みを緩和するだけでも、愛犬の生活の質は向上します。
高齢だからと諦めずに、動物病院で鎮痛剤やサプリメントを処方してもらいましょう。
体に悪性腫瘍ができる、いわゆる「がん」も高齢犬に多い病気です。
がんにはさまざまな種類があり、発生する部位によって症状も変わります。
一方、どの部位のがんでも早期発見し早い段階で治療を開始することで、寛解する可能性も高まります。
完治が難しくても寛解できれば、これまで通りに生活することも可能です。
- ・痛がる箇所がないか
- ・体や口に出来物やしこりがないか
愛犬とコミュニケーションを取りながら、体に違和感や異変がないか確認しましょう。
「慢性腎臓病」は、長い時間をかけて徐々に腎臓の働きが低下する病気です。
加齢や食事の偏りにより起こる病気ですが、残念ながら一度壊れた腎臓の組織は元に戻りません。
そのため、腎臓病の治療は「体に毒素を溜めないこと」「腎臓病の進行を遅らせること」を目的とします。
食事面では、腎臓の負担を軽減するために療法食を勧められる場合が多いです。
しかし、獣医師からの指示なく飼い主さんが独断で療法食をあげるのは絶対にやめましょう!
というのも、療法食は腎臓病の子のためにタンパク質などの栄養を必要最低限に抑えたフードです。
そのため、療法食が必要でない子が主食にすると、栄養が足りなくなる場合があります。
私が勤めるペットショップにも時々「予防のために療法食をあげたい」と話す飼い主さんがいらっしゃいます。
しかし、療法食をあげても予防にはなりません。
反対に体調を崩す危険があるので、獣医師さんからの指示がない限り、療法食はあげないでください。
白内障は高齢犬に起こりやすい目の病気で、眼球の中にある「水晶体」が濁ることで発症します。
初期のうちは見た目も視力もほとんど問題ないため、気づくのが遅くなるケースも珍しくありません。
その一方で、白内障は進行すると失明する場合もあり、完治には手術の必要があります。
白内障が起こる主な原因は・・
- ・加齢
- ・ものや壁などにぶつかって目を傷つけたことによる外傷性
- ・糖尿病などの疾患と併発して起こる代謝性
などがあります。
原因もさまざまあり一概に予防方法をお話するのも難しいのですが・・
- ・なるべく紫外線の多い時間帯に外へ出さない
- ・サプリメントを摂る
など、健康や環境に気を遣いましょう。
また、白内障とよく似ている症状で「核硬化症」という病気もあります。
見た目だけでの判断が難しいので、愛犬の目が濁っている気がした際は、早めに動物病院を受診しましょう。
今回ご紹介した以外にも、高齢犬がかかりやすい病気はたくさんあります。
どの病気にも共通して大切なのは、愛犬の異変にいち早く気づいてあげることです。
素人目では判断できない場合もありますが、愛犬のことを一番よくわかっているのは間違いなくご家族です。
ほんの些細でも「おかしいな」と思うことがあれば、早めに動物病院を受診しましょう。
また、獣医師さんによって見立てが全く違うこともあります。
診断に納得できない・治療してもなかなか改善しない場合は、セカンドオピニオンも考えてみてください。